肩脱臼とは
肩脱臼とは、受け皿からボールが外れている状態です。多くのケースでは、ボールが前方に外れてしまいます。その時に、受け皿の縁を削ってしまうことがあります。

肩脱臼が起こる可能性
肩の脱臼は、関節の中でも比較的起こりやすいケガです。年齢や活動内容によって頻度が大きく変わるため、代表的なデータをもとに整理すると次のようになります。
📊 肩脱臼の発生頻度(目安)
| 区分 | 発生頻度(年間) | 特徴 |
| 全体(一般人口) | 約10〜25人 / 10万人 | 関節脱臼の中で最も多い |
| 若年男性(15〜30歳) | 約30〜60人 / 10万人 | スポーツ外傷が主な原因 |
| 高齢者(60歳以上) | 約20〜40人 / 10万人 | 転倒による発生が多い |
| 再発率(若年層) | 約50〜90% | 一度脱臼すると再発しやすい |
| 再発率(高齢者) | 約10〜20% | 比較的再発は少ない |
肩の脱臼は、スポーツの種類によって発生しやすさがかなり異なります。特に「接触の多さ」と「転倒リスク」が大きく影響します。
📊 スポーツ別の肩脱臼の発生率(目安)
| スポーツ種目 | 発生率の目安 | 主な原因 |
| ラグビー | 高(約30〜50件 / 10万人・年) | タックルによる強い外力 |
| アメリカンフットボール | 高(約25〜45件) | 衝突・コンタクト |
| 柔道 | 高(約20〜40件) | 投げ技・受け身失敗 |
| レスリング | 中〜高(約15〜30件) | 関節への極端な負荷 |
| バスケットボール | 中(約10〜20件) | 接触・着地時の転倒 |
| サッカー | 中(約5〜15件) | 転倒・接触 |
| スキー・スノーボード | 中(約10〜25件) | 転倒時に手をつく |
| 野球 | 低〜中(約5〜10件) | スライディング・送球 |
| テニス | 低(約2〜8件) | オーバーユース・転倒 |
| 水泳 | 低(約1〜5件) | 反復動作による不安定性 |
私の患者さんは特に肩の動きの制限を気にする患者さんが調べて診察にいらしてくださるので、柔道、レスリング、バスケットボール、サッカー、スノーボード、野球での怪我が多いです。
肩が外れたときにやってはいけないこと
肩が外れた(ときは、対処を間違えると神経や血管を傷つけたり、再発しやすくなったりします。まず「やってはいけないこと」をしっかり押さえておくのが重要です。
❌ やってはいけないこと
- 自分で無理やり戻そうとする
- 腕を動かしたり回したりする
- 放置して様子を見る
- 強くマッサージしたり温める
- 無理に服を脱ごうとする
肩が外れた時の正しい初期対応
正しいはじめの対応とは、①腕を三角巾などで固定 ②氷で冷やす ③できるだけ早く整形外科に受診すること。
もし、三角巾がない場合は、タオルで代用可能です。

やり方
- フェイスタオルやバスタオルを用意
- 首の後ろにかけて、両端で腕を支える
- 肘が少し曲がる位置で固定
固定するときの注意点は、
· 腕は体に近づけて固定
· 手が心臓より少し高い位置だと楽
· きつく締めすぎない(血流に注意)
· 痛みが増す形はNG
肩脱臼をしてから回復までの治療の流れ
初期(固定期):約3週間(怪我をしてから)
- 三角巾などで固定して安静
- 痛み・腫れが落ち着く時期
- 無理に動かさないことが最重要
回復初期(可動域回復):約4週間(怪我をしてから)
· 少しずつ動かし始める
· 痛みが出ない範囲で行う
筋力回復期:約4〜6週間
· インナーマッスル(回旋筋腱板)強化
· チューブトレーニングなど
· 肩の安定性を戻す
スポーツ復帰:1ヶ月以降
- 軽い運動 → 徐々に復帰
- コンタクトスポーツは慎重に
- 医師・リハビリ指導のもとで判断
どういう時に手術をして治す?
何度も外れる(反復性脱臼)
- 2回以上繰り返している
- 日常動作でも外れそうな不安感がある
👉 靭帯や関節がゆるくなっているため、自然回復が難しい
若くてスポーツをしている
- 特に10〜20代+コンタクトスポーツ
- 再発率がかなり高い(放置すると繰り返す)
👉 競技復帰を考えると手術のほうが安定するケースが多い
骨の損傷がある
受け皿の骨が欠けてしまったり、ボールが大きく凹んでしまっているときは、構造的に肩が外れやすくなってしまいます。
構造的な問題は手術で修復しないと不安定が続くため、手術を検討します。
(注意)医療機関にて、受け皿やボールの凹みがないかどうかを調べるようにしてください。
肩脱臼の治療『AAGR Tokyo style』
肩脱臼に対する関節鏡再建コンセプトで、解剖学的に関節窩を“元の形に戻す”ことを目的にしています。

① 解剖学的再建(anatomic)
- 関節窩の関節面に一致させて骨を再建
②スクリューを使わない
suture buttonを用いた固定👉 低侵襲固定
- 将来的な金属トラブル回避
③筋肉を切らない
肩甲下筋を切ることなく手術を行うため、柔道の背負い投げのように内側に腕を引き込む力が落ちることはありません。
④ 可動域が制限されない
☞術後3ヶ月で逆立ちを可能としています。

